Hi-STANDARDがEテレで特集されるという衝撃

 つい2時間ほど前にEテレで放送されていた番組『ETV特集 届け!!! 〜ハイ・スタンダード 東北へのエール〜』をご覧になられた方はいらっしゃいますでしょうか。たぶん少数。それは予想がつく結果でもあります。


 Hi-STANDARD、それは僕が中高時代、大変にハマったバンドです。日本のパンクシーンを作ってきた彼らは、2000年のAIRJAMという彼ら主催のロックフェスを最後に、突然の活動休止を発表しました。その時、たしか高校3年くらい。とてもショックを受けたことを覚えています。一つの時代が終わった、そんな感じさえ持ちましたし、それはあの音楽シーンにとっては紛れも無い事実だったことでしょう。


 Hi-STANDARDの音楽を最初に聞いた時、僕は衝撃を受けました。それまでは、世間も周りの友達も、そして僕も聞いていたのはテレビの音楽番組に出て歌っている、ミュージシャンというか芸能人というか、そんな人たちの音楽。そんな時に、あるファッション雑誌で、誰かは忘れたんですけど、ある方が「好きなアルバム」として、Hi-STANDARDのアルバムを薦めていたのです。僕はそのアルバムを買い、家に帰って聴き、衝撃を受けました。「こんな音楽があるのか!」と。


 皆が知らない世界で、とてつもなく筋の通ったスピリットを持ち、抜群にかっこいいサウンドを創り出すHi-STANDARDに、僕はどんどんのめり込んでいきました。先日ある方々との忘年会の中で、「荒木さんは反骨の精神を持っているよね」と言われました。僕は迷わず「そうですね」と答えました。僕がHi-STANDARDを好きだったスピリット、そこには間違いなく反骨の精神がありましたし、彼らはその反骨精神の象徴として、僕らの世代でカリスマバンドとなったのです。


 そんな彼らは2000年の突然の活動休止から何の音沙汰もなく、実に11年の月日が経ちました。そんな時に起こったのが、あの東日本大震災でした。これまで不仲説がファンの間でも取り沙汰されいたメンバーが、この震災の約1か月後、自身が活動休止前サイドのステージとなったAIRJAMを2011年9月に横浜で開催すると発表したのです。そして、2012年には東北でのAIRJAMの開催を実現する、と。


 Twitterでメンバーがこのことを同時刻に発表した時、僕は驚きと感動がごちゃまぜになったような気分でした。そして、2011年9月の横浜でのAIRJAM。ギターの健くんは、ステージ上でこんなことを言いました。


「俺たち、日本のために集まったんだよね。笑わないでくれよ、本当なんだよ。」


 それは、まさしく嘘ではなく、本当のことだったことでしょう。あれだけ不仲説が取り沙汰され、実際に不仲だった彼らが、東北のためにできる最大限のことは何か、そのことを考えた時に、Hi-STANDARDを復活させて、東北でAIRJAMを開催する。それが一番の答えだったのです。


 彼らの復活で元気をもらえる被災者はたくさんいます。僕は被災者ではありませんが、福島出身者として、このHi-STANDARDの決断に大きく心を動かされました。先ほどのEテレの番組の中で、ギターの健くんが言ってました。


 「音楽で世界を変えることはできない。しかし、音楽によってケツを叩かれた奴らが行動することで世界は変わる」


 彼らの復活、そした東北でのAIRJAMの開催は、少なからずこうした現象を生んだと思います。そして、これまで一切TV等に出演することのなかった彼らが決断した、昨日のEテレでの放送の承諾。天下のNHKがあのHi-STANDARDを取り上げる。そして、Hi-STANDARDがそれを承諾する。12年前には全く想像できなかったことです。


 先ほどの放送を見て思いました。彼らのスピリットは12年経っても変わっていない。そして、そのスピリットに12年たった今でも僕は共感しているのです。下記は、彼らが復活の発表の際にTwitterで言い放ったメッセージ。



 彼らのメッセージは、東北の人たちにきっと届いたことと思います。
 STAYGOLD☆