そんなには必要でないもの

 いわゆるお金持ちの人たちの中には、お金で満たされると、実際にはお金はそんなにはいらなかったと言う人がいます。つまり、お金で満たされた後に、お金はそんなにはいらなかったということに気がついたというわけです。こんなふうに、何かモノで満たされた瞬間、そのモノはそんなにはいらないものだったと気づく経験は、皆さんも何かしらあるのではないかと思います。


 とはいっても、それで満たされるまでは、そのモノがそんなにはいらないものであるということは、なかなか分からないものでもありますよね。こんなことを考えていると、結局のところ、自分は何で満たされるのかという話になってきます。そうすると、それはモノの有る無し以前に、心の持ち方であることに気づきます。


 自分は何に幸せを感じるのか、モノではなく自分の心が満たされるのはどういう状態なのか、そういう自分の心のバロメーターのようなものを知り、それに向き合い、どうコントロールするかということなのだと思います。つまり、それは心が満たされやすい環境を作ることが大切だということでもあります。だとすれば、心を満たしてくれる環境づくりへの投資は積極的にすべきで、むしろ、投資はそこに集中させるのが良いのかもしれません。


 それが趣味になるのか、仕事になるのか、生活そのものになるのかは人それぞれでしょうけど、何に投資をすべきかの選択は、とても大切なことなのだろうと思います。それができれば、ムダな時間やお金を使うこともないでしょうし、ムダなストレスを感じることも無いかもしれません。とはいえ、それが簡単にできるわけではありませんし、いろいろなムダを経験しながら、そういうものを模索することこそが人生なのだと思います。まあ、ムダなこと自体も時に楽しかったりしますし、ムダの無い人生なんてつまらなくもありますから、ムダというものも決して悪いものではありませんしね。


 ただ、そうして模索をしていく中で、モノやお金で満たされることが、必ずしも幸せで豊かな人生を送ることではないという一つの解は知っておいた方が良いかもしれません。いろいろな経験と深掘り、そして自分との対話を繰り返しながら、どのように心を満たしていくのか。これは長い人生のテーマでもあり、楽しみでもありますね。