愛犬との別れ

 今朝7時23分、実家の愛犬が息を引き取り、天国へと旅立ったそうです。5月15日が誕生日だったそうで、10歳を目前にしての旅立ちでした。



 名前は『カーン』。ちょうど10年前ですから、日韓ワールドカップの年に我が家に来たわけですが、日韓ワールドカップといえば、当時のドイツ代表のゴールキーパー、オリバー・カーンが有名で、誰が付けたのか分かりませんが、『カーン』になったそうです。まあ、毛並みは何となく似ています(笑)


 2002年当時、私は大学生で家を出ていましたが、たまに実家に帰る時には、散歩なんかに連れていってあげました。ほとんど同じ時間を過ごしてはいなかったので、なついていたかといえば、全然なついてなくて、たぶん僕のことを下に見ていた感さえありますが(笑)、それでもやっぱり犬は可愛いものですね。


 そんな『カーン』は、数年前から白内障になり、目があまり見えなくなってしまいました。今まではヤンチャに走り回っていたのに、走ることもできなくなりました。


 そんな中で迎えた昨年の東日本大震災。目が見えず、一人で家で留守番をしながらの状態で迎えた、あの揺れ。家具もどんどん倒壊する中で、本当に怖かったことでしょう。それでも、実家の周辺が津波で水没する中、夜になりようやく家にたどり着いた父が家に入ると、カーンはいつも通りソファーに座っていたそうです。


 その後、カーンは両親の原発避難とともに3度の引越しを経て、今日のこの日を迎えました。両親が震災とその後の大変に過酷な避難生活を強いられる中、それを一番傍で見守ってくれていたのは、僕や弟ではなくカーンであり、両親もつらい状況の中でカーンから元気と癒しをもらっていたに違いありません。


 僕と弟が家を出てからは、両親にとってカーンは我が子同然だったことでしょう。そして、震災でますます強くなった絆。別れはつらいでしょうけど、私たち家族が強く生きていくことが、カーンの一番の供養であると思います。


 カーン、今まで僕たち家族にたくさんの元気と癒しをありがとう。天国では、元気いっぱい走り回れよ!