博学多才のための一点集中

 ここ最近、村上龍さんが編集長を務めるメールマガジン、JMM(ジャパン・メール・メディア)を読んでいます。こちらでは、主に経済や金融の専門家の方々が、村上さんが出したお題(マクロ経済や金融のお題が多い)に毎週答えていくというメルマガなのですが、今回はちょっといつもとはお題が違っていたように思います。それが、こちらです。


JMM 村上龍、金融経済の専門家たちに聞く Q.1248

 今回のお題に関する回答を見ていただくと分かると思うのですが、正直、ほとんどの方の回答にキレが無いですよね。いや、普段の経済や金融系のお題の時には、僕もあやふやにしか理解できないくらいの専門的知識や能力を発揮されてる方たちなんです。でも、今回の回答はどうもいつものらしさがない、僕はそう感じてしまいました。


 で、何でかなあと考えてみたら、どうもこのお題は経済の要素も含まれますけど、それよりも経営やマーケティング寄りのお題だと思うんですよね。だから、回答者の方々からすれば、微妙に専門外。おそらく、回答に苦労された方もいらっしゃるのではないでしょうか。


 まあ、でもそれは良いと思うんです。良いというのは、詳しくない分野はあって当然ですし、詳しくないんだから仕方が無いということです。やはり、人間は得手不得手もありますし、時間をはじめ様々な制約の中で生きていますから、あらゆる分野に精通するということは到底無理なわけです。


 だから、自分の専門外の分野については、その分野に詳しい人と人脈を持ち、定期的に意見交換をする。これで十分だと思うんですよね。一方、そういう中で大切なことは、自分の専門分野に関しては、とことん専門性を追求するということです。それはなぜかというと、自分の専門性というのは、その分野に詳しくない人からすれば非常に価値のあることなわけで、それを磨けば、他の分野で同様のレベルで専門性を追求している人と、コンタクトが取れるようになってくるわけですね。


 ですから、ある分野の専門家が他の分野もわりと詳しい、つまり「あの人は何でも知っている」というのは、そういう状態なのだと思います。自分の専門とする分野を見つけ、それを深堀りし、そして人脈を作りながら、いろいろな分野に精通する。そんな風に生きていくと、いろんな分野の知の冒険ができそうですね。


 そういえば、先週の土曜だったと思いますが、日経のプラス1で、ローソンの新浪剛史社長も専門性について同じようなことを仰っていた記憶があります。思考しながら情報をインプットしていると、情報と情報に関連性が生まれてきておもしろいですね。