アウトプットは知っている言葉の塊

 普段、僕らはこうして文章を書いたり、会話をしたりする中で、いろんなワードを使っています。何気なく口から出てくる言葉、すらすら書ける文章、どちらも脳で少しは考えられた上で出てくるワードの塊なのでしょうけど、そのほとんどのワードは、たいてい自分がちゃんと理解しているワードなのではないかと思います。


 先日、私はある文章を読んでいて、分からないワードが出てきました。そして、そのワードについていろいろ調べたんですけど、それでもまだ自分のものにできるほど理解していない。なので、自分の会話や文章といったアウトプットの中で、そのワードをまだ使える状況ではないんですよね。


 そこで、「ああ、僕らのアウトプットのほとんどは、こうして自分が知っているワードの中で組み立てられているんだなあ」と改めて感じたわけです。でもそれと同時に、世で言うバズワードなんていうものは、きっとその限りではないんだろうなとも思いました。


 例えば、マーケティングの世界のワードの中でも、ここ最近は「ソーシャルCRM」というワードがものすごく流行しています。でも正直言って、結構多くの人が分からないまま使っていると思うんですよね。ソーシャルCRMの前に、「CRM」すら分かっていない人もかなりいると思います。でも、皆、さもちゃんと分かっているような感じでものを言う。その分野をわりとよく分かっている僕からすれば、「君、全然分かってないじゃん!」という話なわけです。


 でも、バズワードになるようなものは、そのほとんどが、人々の理解度が低い状態のまま、言葉だけがひとり歩きするのだと思うのです。なので、結局のところ定着しない。CRMなんて、正にそういう歴史を辿ってきたわけです。分かっていない人が騒ぎ立てるから、言葉だけがひとり歩きして、理解度が低いレベルのまま世に広まっていく。そりゃあ、定着しないわけです。


 やはり、自分がアウトプットするものには、ある程度の責任は必要だと思います。営業の世界などでは大きく見せることもあるでしょうけど、なるべくなら知ったかぶりなどをせずに、自分で使うワードを自分でしっかり理解した上で使いたいものですね。そしてそれと同時にアウトプットに深みを増すためにも、やっぱりいろんな教養を身に付けることが大事だなと改めて感じました。やっぱり、何事も素の自分が良いですし、素の自分で勝負したいと思うんですよね。