現場とネットの情報をクロスさせたいね

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震災を通じて再確認された郷土愛


 東日本大震災からも2ヶ月以上が経過しましたね。依然として、原発事故は収束する気配がなく、僕の地元の南相馬市も大変な状況になっているのはご存知のとおりです。ただ、今回の震災は、良くも悪くも地元への郷土愛や地元の人同士の絆を深める機会にもなったように思います。


 僕自身も、南相馬市からは遠く離れた場所に今住んでいるわけですが、FacebookTwitterなどを通じて、地元の友人や知人、さらには中学校時代の先生などとも10数年ぶりに繋がって、連絡を取り合うケースが多々ありました。こんな震災が無ければ、こういうこともなかったかもしれないと思うと、何とも複雑なものです。

“#tadanonero”と言われるほどの友人の奮闘


 そんな中、こうして繋がった友人の一人に、高校時代の同級生で、現在南相馬市の市議会議員の但野謙介くんがいます。彼は、昨年10月の市議会議員選挙で、28歳の若さでトップ当選し、市議会議員になりました。僕も親からそのことを聞いたときはビックリしましたし、すごいヤツだなと思いました。考えてみれば、彼は高校時代からとても優秀でしたし、弁も立って、たしかに議員さん向きのような人物でしたが、まさかこの若さで議員になるとは、全く思っていませんでした。


 そんな彼ですが、この時代に、この震災時に、彼のような市議会議員がいて、本当に良かったなと思います。震災発生以降、彼は現場で動きまわり、ソーシャルメディアで情報の出し入れをどんどん行い、ほとんど寝ないぐらいの仕事をしています。震災直後は、あまりの激務ぶりに、“#edanonero”ならず、“#tadanonero”というTwitter上のハッシュタグもできたらしいですが(笑)、それぐらい死に物狂いで、地元のために働いてくれているのです。


 そんな彼を、ソーシャルメディア上で眺めながら、時には、情報交換をさせてもらいながら2ヶ月が経過したわけですが、この2ヶ月を振り返ってみると、本当に彼のような議員がいて良かったと思うのです。もちろん、他の議員がどうこうというわけではないですが、やっぱり彼以外の議員さんは年配ですし、ネット上での情報の出し入れも、あまりされてはいません。年齢的なこともあって、但野くんほどの活動量もこなせないでしょう。これは、良い悪いではなく、仕方ないこととして。


 そんな中、若くて異彩を放ち、活動量のある但野くんは、本当に頼もしく、遠く離れていても、地元の状況がある程度は分かりますし、彼なら適切な方向へ、つまり震災直後の対応から、原発事故への危機管理、そして復興に至るまで、しっかりと地元を導いてくれるのではないかという、何か安心感のようなものがあるのです。


 もちろん、それは僕が勝手に思っていることであって、彼自身にとっては、やるべきことを当たり前にやっているだけなのかもしれませんが、僕はこの2ヶ月間でそれは強く感じました。おそらくですけど、現在、南相馬市を離れていて、地元の状況を気にしている人たちにとって、但野くんはそのように映っているのではないでしょうか。

直接触れなきゃ分からない


 そんな彼も、もちろん一個人であり、身体は一つですから、現地の全ての場所や全ての人をケアすることはできません。当たり前に。ですから、議員さんは、但野くんは、具体的にどういう活動をしてくれているのかが分からない、という地元の被災者の方も少なくないでしょう。実は、先日僕の母と電話で話したのですが、実際にこういう話になったのです。


 僕らは、日々ネットを通じて、彼の活動を少しは知っているわけですが、彼のTwitterなどを見ていなくて、実際に現地で彼の活動に触れていない母にとっては、正直言って彼がどんな活動をしているかは全く分からないわけですね。これは、仕方が無いことでもありますけど、彼が必死に動いているのに分からないというのは、何ともな感じもありますよね。


 そんなわけで、「彼はこんな活動をしているんだよ」とか、「ソーシャルメディアで情報を出していて、こちらも助かっているんだよ」的な話を母にしたわけですが、そこで初めて母は「そうなんだ〜」となるわけです。まあ、これは一言で言えば、“情報格差”ということで片付けられてしまうんですが、でも、この件に限らず、ネット上でいくら情報を出したり、活躍していたって、それを見ていない人にとってはハッキリ言って「?」なんですよね。

現場とネットのクロスが必要だよね


 近頃は、“ネットで情報を出してなんぼ”とか、“時代はソーシャルメディアだ”とかいう人もいますけど、それは皆がネットを見ていて、ソーシャルメディアをやっていて、その中でも、その情報を取っていることが前提の話であって、大半はそんなことはないわけです。そんなことより、マスメディアやリアルの情報の方が、よっぽど多くの人に伝わったり、インパクトがあったりもするんですよね。


 だから、その部分を過信しちゃいけないし、ネットやソーシャルメディアが全てなんていうことは、先ず以てないわけです。もっとも、情報を出す側が、こういうことを分かっていて、情報が伝わりやすくするような試みはすごく大事なことだと思います。こういう震災のような緊急事態だと、情報は黙っていても伝播していきやすいですが、通常の場面では、クチコミを起こすことを考えれば分かるように、一工夫も二工夫も必要なわけです。


 僕としても、但野くんの活躍は素晴らしいと思うし、それを地元の人たちにも知ってもらいたいなと思います(もちろん、選挙のためとかじゃなくて純粋にね)。だって、彼の活動は、僕らに情報を届けるだけじゃなくて、実際に、地元の被災者の方々の助けになっているわけだから。そんなこともあって、現地の現場で起きていることと、ネットの世界で起きていることを上手くクロスさせられると、情報の風通しがもっともっと良くなるのかなと思いました。


 何はともあれ、彼の活躍には頭が下がります。これから、まだまだ復興には時間がかかりますが、南相馬市をぜひ上手くリードしていただきたいと切に願っています。彼が、この時代に、この時期に議員になったのも、きっと運命の巡り合わせで、地元・南相馬市にとっては、本当に必要な人物だったんだと、勝手ながら思う今日この頃です。


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