beBitさんのセミナーで学んだWebにもWeb以外にも通ずる大事な話

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 昨日は、ユーザビリティを中心としたWebコンサルを手掛けるbeBitさんのセミナーに行ってきました。もうWebの業界では、超有名ですよね。Webの業界ではない僕でも、かなり昔からこの高学歴の超優秀集団は知っていましたからね。そんなbeBitのセミナーがあるというのをIさんのFacebookで知ったので、「これは行こう!」ということで行ってきました。

今後どの分野でも重要な『顧客中心』の思想


 では、本題に入っていきますが、まずお話されていたのは、Webの制作に関しても、『ユーザー中心』、『顧客中心』ということが、もう不可欠になってきたということ。マーケティングの世界でもよく言われることではありますが、もうこれは時代背景の変化によって、どの分野でも共通の認識事項になってくるのだと思います。


 とはいっても、どの企業もやれていないのがこの分野であることも事実。『お客様第一主義』という理念は多くの会社にありますが、具体的にその実現のために戦略を策定し、実行に移している企業は、まだまだ少数ですよね。ちなみに、昨日はハーレーダビッドソンの顧客中心主義経営の事例を取り上げながら、お話されていました。


 そして、このことに関連してお話があったのが、「ニーズの多様化と共に顧客理解が困難になり、自分の感覚だけではマーケティングを行うことができなくなった」ということ。昔のように、数種類の商品を生産し、流通に乗せれば売れていた時代とは異なり、十人十色にニーズが多様化した現在は、企業側の経験だけでは判断ができなくなってきたということですね。


 このニーズが多様化したということに関しては、一概に「その通り!」とは言えない部分もあるんですが(その話はまたの機会ということで)、とはいえ、企業側が企業都合で勝手に考えて商品・サービスを展開してもダメで、顧客がどのような商品、サービス、価値を求めているのかを知った上で経営をしていかないとならないのは明らかだと思います。

Webの“能動的”という特性をどう活かすか


 それから面白かったのは「インターネットは雑誌やTVとは異なり、能動的に閲覧されていることを意識すると、ユーザー理解は必須だ」ということ。これは、受講者に理解してもらい易くするために、あるクイズを出して説明されてました。


 そのクイズというのが、いろんな色の「○」と「□」がスライドに散りばめられていて、『赤の○はどこにありますか?』とスライドを数秒見せられるというもの。たぶん、受講者のほとんどが「赤の○」がどの位置にあるかは分かったと思います。そして、次に『その赤の○の両脇にあった図柄は何だったか分かりましたか?』という質問。僕も当然分からなかったし、他の人も手が挙がりませんでした。


 これ、どういうことを意味しているか分かりますか?それは、私たちが情報を能動的に探そうとしている時は、私たちの視野はとても狭くなっていて、目的のモノ以外は見えなくなっているということなんですね。つまり、私たちは「赤の○」だけを集中して探していたので、その周りに何があったかなんて、一切見えていなかったわけです。Webは、特性上こういう状態で閲覧されることが多いわけで、だからこそ、ユーザーが求めているものを出すべきだということを仰っていました。


 例えば単純な話、顧客が安さを求めているなら、安いことを強調して発信すべきなんですよね。そして、大事なのはなぜ安く提供できるのかを説明するということ。訴求→裏付け→具体的な提案→不安の解消みたいな、点ではなく線での設計が重要なんですね。いずれにしても、Webの設計の前に、顧客が何を求めているのかを知ることが必要ですし、結局「顧客中心」ということに戻るわけです。

『コミュニケーションの取り方が変わる軸』でのセグメント


 あと、これは勉強になったと思ったのが、顧客をターゲティングする際のセグメントの話。一般的には、例えば分かりやすいところで言えば、性別とか年齢とか、住んでいる地域とか、累計購入金額とか、そういう属性情報等でターゲットを切り分ける場合が多いですよね。


 で、昨日事例の中に出てきた、某大手メーカーの高額なシステムのWebサイトの話。そのWebサイトのターゲットを考えてみた場合、例えば、「40代の男性」「40代の女性」で、そのシステムに関して調べる情報やニーズが変わりますかということなんです。そう考えると、同じ業務環境にいるとするならば、それはほとんど変わらないと言って良いですよね。


 では、何でセグメントするのかというと『コミュニケーションの取り方が変わる軸』でセグメントするということ。これは、ビックリしました。「こんな考え方があったのかーーー!?」、「ヤラれたーーー!!」と思いました。


 beBitさんは、この某大手メーカーの営業に聞いたらしいんです。「お客様とお話をする上で、営業トークを変えるポイントって何ですか?」と。すると、検討初期のお客様と比較検討段階のお客様では違うし、ブランドへの信頼を求めるお客様と安さを求めるお客様でもそれは違うという風に、お客様の層によって、営業トークの仕方、つまりお客様とのコミュニケーションの取り方が違うということが分かったんだそうです。


 そして、そのセグメントした顧客群ごとに、異なるシナリオを用意して、Webを設計する。いやぁ、これは目から鱗でした。ちなみに、このシナリオを何本も設計して仮説検証を繰り返すというのも大事なことで、こういうシナリオが無いと、分析と言っても経路分析をするしかないわけですが、明確なシナリオがあると、入口と出口さえ最低限見ておけば良いんだそうです。逆に言えば、入口と出口をつなぐものが、シナリオなわけですね。


 ですから、マーケティングの目的を明確に決めて、それをWebがどう担うかという役割を導き出し、それに向けたターゲティングをコミュニケーションの軸でセグメントし、個別シナリオを設計・実装・検証をする。そして、この前提にあるのは、「ユーザー中心」、「顧客中心」という思想であり、実際に顧客を理解するということ。要約すると、こんなことがすごく理解できたセミナーだっと思います。


 それにしても、僕らが普段CRMの理論設計とかでやっている、“顧客中心”とか“顧客の購入プロセスの理解(企業側が組み立てた企業都合のプロセスではなく)”とか、“シナリオの設計手法”とか、共通する部分が多くて、同じ話を別な角度・切り口で聞けたのですごく勉強になりました。


 それと同時に、どの分野においても考えなければならないことは一緒なんだなとも感じました。すなわち、顧客が中心で、全てのアクションにはプロセスが必要で、OnetoOneのような個別対応が必要で、というようなことですね。こういうことを学べるとも気付けるとも思っていなかったので、すごく新鮮でしたし、流石はbeBitさんだなと思いました。いろんな分野で学ぶことは大事ですね。普段行かないWebの分野で、とても勉強になったひと時でした。


おしまい。


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