就職活動の最大の目的は、本当に内定をとることなのか?

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 最近、新卒の就職難がメディアでもよく取り上げられていますね。就職氷河期以上の就職難とも言われる昨今の状況ですが、実情はどうなのでしょうか。


 私が新卒で社会に出たのは2005年。ちょうど就職氷河期と呼ばれた時代の翌年だったでしょうか。ただ、2005年の就職活動を思い返してみても、そんなに簡単な感じではなく、それなりの厳しさはあったように思います。


 ただ、当時もそうでしたが、今の学生を見ても、どうにも腑に落ちないのは、就職が厳しい厳しいとは言うけれど、それを乗り越えるために本当に真剣にやっている学生がどれだけいるのか?またその真剣にやる方向がちょっと違うんじゃないの?ということです。

“内定を得るため”の就職活動で得られるものとは?


 一般的な就職活動。それは、リクナビ等の就職支援サイトに登録をして、インターンに行き、合同説明会に行き、個別の説明会に行き、そして、実際に面接を受けに行く。おおまかに言えば、この繰り返しでしょう。


 たしかに、企業に就職するため、いや、内定をもらうために必要な最低限のプロセスは、そんなところかもしれません。しかし、私が思うのは、この最低限のプロセスしかやらずに、「やれ落ちた、また駄目だった、内定が出ずに自信を無くしてやる気も無くなった」みたいな学生が多すぎるのではないかということです。


 そもそも、就活なんてほとんどは落ちるものです。落ちて当たり前なのです。もちろん、内定ホルダーと呼ばれる学生のように、一部の学生に内定が集中する現象もあります。でも、彼ら彼女らだって、落ちる数の方が多い人が多数のはずです。


 こうして当たり前に皆が行っている、“内定を得たいがための”就活プロセスですが、こうした活動の中で、何を得ることができるのでしょうか。


 もちろん、私もそういう活動はしました。それは内定を得るための最低限のプロセスですから。そうした中で、場数を踏むことによって面接慣れをしてきたり、企業の社風などが掴めてきたり、人事担当者の好みが分かってきたり等、就活慣れしてくるのは事実だと思います。


 でも、正直言って、こういう就活をしていたら、得られるものなんてそれぐらいなわけで、結果として「運良く内定をもらってラッキー、内定が出なくて落ち込む」、これしか無いのです。

就職活動期間中という特殊な状況は二度と無い


 就職活動において内定をもらうことは重要です。当たり前です。でも、それを最大で最重要の目的にするかどうかで、就職活動期間中のその人の成長や将来の活躍に大きな差が出ると思うのです。私が、今回の記事で言いたいのはそういうことです。


 だって、考えてもみてください。就職活動期間中ほど、多くの経営者、ビジネスマン、あるいは周りの他大学の学生たちと会って、気軽に話ができて、関係を作れる機会って他に無いですよね。


 もちろん、職業上、経営コンサルなどの職であれば、企業の経営者と触れ合う機会も多いです。でも、学生という立場と社会人という立場は明らかに違っていて、就活中の方が有利である場面が多いのは明らかだと思います。


 そうして様々な人と触れ合う中で、自分には全くない価値観を学んだり、経営者やできるビジネスマンの思考を学んだり、あるいは他大学の学生の姿勢やスキルを学んだり。そういう触れ合いの中で、他者の優れた部分を自分に取り入れたり、自分自身の考えを整理して軸を見出していったりしながら、自分の幹をどんどん太くしていくことが重要なのではないかと思うわけです。


 私も就活中、いろんな経営者、ビジネスマン、他大学の学生たちと関わりました。名刺を作り、名刺交換をして、様々なお話をする中で、人間関係を作ったり、そこで知り合った人同士で、同じ就活生向けのイベントを運営したり、様々な形でインプット、アウトプットの訓練をしたり。


 そういういわゆる“内定を得るための”就活プロセス以外の活動を意識的にする中で、自分自身の成長を自身で感じ取ることができたのを鮮明に覚えています。これは、別に自惚れてるわけでも、自慢をしているわけでもないんです。


 皆さんも考えてみてください。例えば、中学生の時の自分と大学3年生の今の自分を比較した場合、多くの人は自分は成長したな、大人になったなと自覚することができると思います。(逆に、全く成長してないなと思う人はある意味スゴイですがw)


 では、今年の4月時点の自分と今の11月時点の自分を比較して、自分は“明らかに”成長したと自覚できる人がどれだけいるでしょうか?この半年間の間に余程の経験をしない限りは、“明らかに”成長したとは感じ取れないはずです。


 就職活動期間中の半年、一年のわずかな間で、私はそれを明らかに自分で感じ取ることができたのです。もちろん、「お前、それまでぐ〜たらな大学生活を行っていたんだから、ちょっと真剣にやれば、そんなの感じ取ることができるのは当たり前やろ!」ということもたしかにあるでしょう。


 でも、それでも良いのです。それまでいくらぐ〜たらにやっていようと、何かのポイントで自分にスイッチが入って、真剣にやるようになれば、それはそれで良いのです。そこに気付くことが大事なのです。

チャンスを生かすも殺すも自分次第


 もちろん、人によって、そのポイントが訪れる時期というのは様々でしょう。ただ、この就活中という人生においても極めて特殊な状況下は、そのポイントを掴む大きなチャンスであり、ポイントを掴んだ後の成長度合いも極めて大きいというわけです。


 それにもかかわらず、ほとんどの学生は“内定を得るためだけの”就活をしている。こんなにもったいないことはありませんし、それまでと何も変化せず、成長もせず、単に“内定を得るためだけの”就活をしている学生を、企業が採用しようとしないのは、ある意味当然なのではないかとさえ思うのです。厳しいですけど。


 前途した内定ホルダーと呼ばれるような学生。彼らは、それまでの人生の中で、どこかのタイミングでポイントを掴み何かに真剣に打ち込んだ。そんな学生が多いように思います。何もそれは就職活動を始める前までに特別な経験をしなかったとしても、就活期間中の短い間で、十分挽回可能なのです。


 ですから、就活中の学生の皆さん。内定を取るのは大事です。たしかに大事です。でも、それは就活最大の目的ではないですよ、やっぱり。自分をひと回りもふた回りも成長させた結果として、内定というご褒美が頂けるのであって、その成長のチャンスを掴み、真剣に打ち込み、自分を見つめ直すことが本当に重要なことだと思うのです。


 就活中にそういう経験をしてきた人とそうでない人とでは、明らかに顔つきが違います。就活中の経験は、良くも悪くも、その後の社会人人生のベクトルを変えることになるのです。社会に出るための重要な準備期間といっても良いでしょう。ですから、内定を取ることは大事ですが、そんなものに過度に縛り付けられる必要は全くないんですよ、実は。


 あとは、こういう考え方があるんだとか、こういう世界があるんだとか、こういう面白い経営者がいるんだとか、こんなすごい学生がいるんだとか、とにかく情報を得て、そこに積極的に首を突っ込むことです。


 現在は、私が就活をしていた5、6年前と比べても、さらに情報は掴みやすいはずです。そうした環境にあるのですから、どんな情報を掴み、活かすかにかかっています。リクナビを眺めて、みんなの就職活動日記を読みまくり書きまくるなんていうアホな就職活動をしていないで、自分自身の無限の可能性に向かって、もっともっと広い視野を持つべきだと思いますよ。


 厳しいと言われる時代だからこそ、人材の価値は高まります。そして、どういう人材へと育っていくかの大きな分かれ道が、就職活動期間中には用意されていますし、就活をする本当の意味なのではないかと思うのです。


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